ロブスターの絵 |
by Willem Kalf 1653 (National Gallery) が正式な題名。
まあ、でも
ホント、ロブスターの絵ですからね。
ナショナルギャラリーにある17世紀のオランダ絵画です。
絵のハイライトとして赤が目立ちます。
ロブスターは皿から滑り落ちそうで、
しっぽを立ち上げ今にも動き出しそうです。
でも、赤いから既に料理されてますね。
このロブスターは偽善とか嘘つきとかを象徴しているそうです。
『見た目で騙されて、間違いを犯したりしないように。』
という教訓が含まれているそうです。
ほうほうほう。
それでは ただの食卓の絵ではないのですねぇ。
(と、一人でつっこんでみたりして。)
The St Sebastian Archers Guild
描かれた絵のようです。
ギルド(同業組合)ですが軍的組織を持っていたそうです。
その組合のホールを飾るためのようで、
組織の富を現しているでしょう。
聖セバスチャンは3世紀の頃の
ローマ軍の軍人で、
でも、クリスチャンであることから矢で射られて死にます。
その後、聖人に奉られました。
牛角の支えの部分に聖セバスチャンの彫刻。
この牛の角にワインを注いでお祝いのときに回し飲みしたそうです。
角の後ろには透明度の高いガラスの容器。
白ワインが入ってます。
『人生享楽』の意。
左側にはイボイボの付いたグラス。
これは Prunt というグラスでオリジナルはドイツから。
イボイボは手が滑らないようにするためです。
それはこの時代、まだまだ 食事のときに使われる
フォークは浸透してなくて、肉は手で食べたそうです。
肉汁の付いた手でグラス持ったら滑るもんね。
グラスを持つところは ごっつくても
口をつけるところはデリケートに出来てます。
レモンもあります。
これも、高価なものでしょう。
特に北国のオランダではレモンは贅沢品でしょう。
皮がくるくる 巻いて剝いてあって、
今にも切れて落ちそうです。
過ぎ行く時を現してるそうですが、
まだ、落ちてないので、”今にも” という
その瞬間を描いたようです。
それは、人生の空しさの寓意であり、
虚栄のはかなさを示したそうです。
それから、画家のテクニックも見せています。
ロブスターの下にはトルコ絨毯。
とっても高価だったから床になんか敷けません。
テーブル掛けです。
これも、画家の腕の見せ所です。!!!
っていうかどれも凄い。
すべての物の材質感が見事に描かれています。
本当に素晴らしいです。
すべて、計算された構図で、
キッチンの様子とかじゃないですね。
この絵を模写した人もいたようで、
でもこの絵、地味な場所に展示してあるのよ。
ナショナルギャラリーのルーム22に展示してあります。