2014年 11月 19日
解体されるために最後の停泊地に曳かれていく戦艦テメレール号/ウイリアム・ターナー |
ふ〜っ。長いタイトルですね。
でも、このタイトルが この絵そのものを表していますので 大事です。
テメレール号は トラファルガー沖の戦いで
ナポレオンを破ったネルソン提督と一緒に戦った戦艦です。
それが、解体される という 、
一つのドラマや時代が終わる。 みたいな出来事だったわけです。
テメレール号は 大砲を98門、搭載していた戦艦で、
ネルソン提督のヴィクトリー号の戦列2番艦隊で活躍しました。
ヴィクトリー号が攻撃されている時
防御に回り、フランス軍の艦隊を撃沈し、
イギリス艦隊を勝利に導きました。
ネルソン提督はこの戦いで亡くなってしまいましたが。
ちなみに、この絵が展示してあるナショナル・ギャラリーの前の広場は
トラファルガー広場。
トラファルガー沖の戦いの勝利を記念した広場で、
ネルソン提督の記念碑があります。
もとい、
そんな偉大な船が 時代は蒸気船に変わり、
お役御免となり 解体されることになったのです。
ターナーはその出来事を、
自分なりの解釈で
この解体される事実を、
ドラマチックに描きました。
映画「ミスター・ターナー」では、
その時代の画家たちが
その解体されるテメレール号が曳かれていく様を
ボートに乗って見物してる有様が描かれてましたが、
実際に立ち会ったのではなくて、
たぶん 新聞でその記事を読んだのだろうと 言われてます。
夕日が描かれてるのもターナーの演出です。
このような大きな戦艦を、忙しいテムズ川で運ぶのは
こんな黄昏時には危険なので、
実際は 日中に曳いたに違いないと。。。
テメレール号も、三本マストは、実際はもうなくなってたそうです。
すでに、リサイクルされてたそうですから。
まあ、そんなことはどうでもよく、
全部、ターナーの演出なんです。
この解体事実を 哀愁をもって、ノスタルジックに描く。
この船の栄光を讃えるための 全て演出なんです。
テメレール号は 白く、エレガントに描かれ、
消えゆく様を、亡霊のように描いています。
かたや、蒸気船は黒々と煙をモクモク吹き上げて前を進みます。
静かな水面に映る影、静
でも蒸気船の周りの水しぶきや煙が 動。
矛盾するかのように 同時に描かれています。
消えゆく船の栄光をたたえて
輝くばかりの夕日。
そこを、ターナーは パレットナイフで
黄色やオレンジの絵の具を厚塗りして表現しています。
それも、薄塗りの船とのコントラストで素敵ですね。
そして、沈む夕日の空には 新月が上り。。。のコントラスト。
時代は移り変わっていくんです。
んっまぁ〜、小粋な。。。。(笑)
この絵にも、
映画の中でしてた
ツバ吐きかけたり、
顔料を手の甲に置いて、画面にふっと吹きかけたりしたのかしら?
いろんな テクニックを使って描いたわけですね。
ターナーって、そんなに好きじゃなかったけど、
絵について勉強すると、なんとなく
素晴らしさがわかって、好きになりますね。
(好きにならないと、絵の説明ができましぇん。笑)
さて、映画007の「スカイフォール」見たことありますか?
この映画の一部は ナショナル・ギャラリーで撮影されました。
このターナーのテメレール号の絵の前で。
ジェームス・ボンドが Q からスパイ小道具を渡されますシーンです。
4代目の Q で、ジェームズ・ボンドは
「えっ?お前みたいな、ニキビがあるような小僧が、何?」
みたいな感じだったんですが、
QはQで 今までの ペン型爆弾なんて「古いよ。」みたいな。
それで、彼の秘密スパイ小道具を渡すわけです。
その会話が テメレール号を見ながら、ナショナルギャラリーの椅子で。
他の常設の絵も画面に出てきました。
なんか ワクワクしたのよねー、その時。(笑)
そのワンシーンが YouTubeで 見れますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=kCNb5QDtc18
と、いうことで、
古いものが新しいものに変わっていく、
時代の移り変わりが
この絵に反映させて見せてるわけですね。
それから、 最後にこの映画で、
M が 亡くなります。
テメレール号の栄光を讃えるように
M の賛歌と解釈できますね。
くぅ〜〜〜〜、小憎らしい演出!!! ですね。
って、勝手に思ってるだけなんですけど。。。(笑)
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by daisukilondon
| 2014-11-19 01:13
| 絵画
|
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