朝の散歩もおしゃれして |
ウィリアム・ハレット夫妻(朝の散歩)
1785年トーマス・ゲインスボロ作
ナショナル・ギャラリー、ロンドン
結婚したばかりのハレット夫妻の肖像。
朝の散歩に出かけているようす。
一緒の方角を見て 手に手を取り合い 前に進む。
清々しい朝の感じが伝わります。ね。
結婚記念の絵ではありますが、
「朝の散歩」というさりげないタイトルもとっても爽やかでいいですね。
この絵は2m40cmの高さの大作。
等身大の絵です。
ふむふむ。
新婚でも大きな邸宅にお住まいなのね。
さすが、貴族ですなぁ。ぷぷっ。
さてさて、
とにかく、
この二人のファッションは当時の最新流行!
実際にこんな格好で散歩に出かけたかはさておき。。。
まず、ボタンがスティール製。
鋼鉄!がこの時代はやりました。
時は産業革命の時代。
その落とし子がスティールで
スティール製のボタンや靴の飾りバックルが大流行して、
ダイヤモンドよりも輝き
人々の目をくらましたそうです。(笑)
ですから、このウィリアム君も
スティール製のボタンを これでもかっ!!
っていうぐらい着けてます。
上着のコートは羽織るだけのジャケットなので
ボタンを閉じることはなかったそうで、
ボタンホールは飾り。
そこに 7つ、そして袖の折り返しに 3つづつ、
ポケットのカバーのところに 3つづつ
後ろの切れ込みの横に
上中下と3つ、計22個。
中のボタンは閉めて着ます。
こちらのボタンは少々、小さいながらも7つ、
ポケットカバーに3つづつの計13個。
この絵では金色のベストのちょっと見えてるところが
またおしゃれかしら。。。
半ズボンにもボタンが4つづつ付いています。計8個。
なので、合計43個 !!
高価なスティールをたくさん使うことで
ステイタスシンボルでもあったのでしょうね。
そして、靴のバックルもスティールを使って飾られました。
その輝くばかりのスティールファッションを
風刺した絵があります。
Steelbuttons: Coup de Bouton,
etching by William Humphrey, c. 1777.
LewisWalpole Library, Yale University
巨大なボタンの付いたジャケットを着た紳士がやってきます。
ボタンからビーム光線を発光し、
ご婦人は眩しくて直視できない。
あれ〜っ。
カツラが重すぎて
その重さで後ろに倒れてしまいそう。はははーっ!(笑)
でも、このファッションは
アングロ・マニアというイギリスファッションとして
ヨーロッパで大流行したそうです。
イギリス心酔のフランス人が
「イングリッシュ・ジェントルマン」、カッコイイ!
みたいな感じでイギリス風に着こなす。
さすがフランス人、
それがまたカッコよく、
グランドツアー (イギリス貴族の卒業大旅行。)から
帰ってきた貴族のご子息たちは
エチケットを学んだフランスで、
プチ・メトールと言われている、そのファッションを真似っこ。
逆輸入したそうです。!!!
ファッションはおフランスから、
っと思っていても
案外違ったかもね〜。
さて、
ハレット夫人は
白いドレスに黒い帽子。
↑こちらも見てください。
同じファッションですよっ。
これはモスリンの木綿を胸元にさらっと巻く当時のファッション。
東洋からの贅沢品として輸入していたもの。
このモスリン、輸入ものなのか、
産業革命の落とし子なのかはわかりません。。。。
1799年に
ミュール紡績機が考案され
モスリンの生産に必要な良質の綿糸が製造されるようになりました。
そして大量生産が可能になったのです。
だから、
み〜〜んな、着てたのよ。
旦那さんも
産業革命の落とし子のスティールを身につけていますから、
奥さんも
紡績機で生産された
モスリンかもねっ。
なんでも、かんでもモスリンで。
それは、その素材が絹とは違った簡素な感じの柔らかさ。
ちょうど、その時代の
「自然回帰」の思想とマッチして
田園風スタイルとして流行したんですね。
はじめはペチコートなどの下着だったそうです。
そのファッションはイギリスからフランスへ。
また、これもですか〜。(笑)
それをマリーアントワネットが宮廷で流行らせました。
白いモスリンのシュミーズを着て。。。
下着ファッションみたいなものです。
昔で言ったら、マドンナ、
今なら Victoria's Secret みたいなものかしら?(笑)
そのシュミーズドレスを着て
カッコつけてるマリーアントワネットの肖像画を見て、
母のオーストリア大公マリア・テレジアは嘆き
娘の行く末を心配したそうです。
。。。。。。。
さて、白いドレスというとウエディング・ドレスですね。
でも、当時は「ウエディングドレス」というのは
特に無かったようです。
ウエディングドレスという衣装と
それを白に定着させたのが
ヴィクトリア女王と言われてます。
ヴィクトリア女王の日記
↑こちらもどうぞ。
この絵では
白の奥さんと黒の旦那さんとの
絶妙なバランスで描かれています。
そこに彼女の黒い帽子で粋なアクセント。
この帽子も大事なファッション。
それはまた次回に。
汗💦
よろしかったらクリックお願いします。
ファッションから見るナショナル・ギャラリーのツアーも行ってます。